著者
永井 成美 山本 百希奈 御堂 直樹 磯村 隆士 脇坂 しおり 森谷 敏夫
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.279-285, 2010-12-10
被引用文献数
6 3

本研究の目的は, スープ摂取後の安堵感(心がほっと安らぐ感覚)の定量的評価を行い, スープの種類による安堵感の違い, および安堵感に影響を及ぼす心理的, 生理的要因を検討することである。予備試験では, 訓練された6名のパネルによる官能検査を4種類のサンプル(コーンポタージュ[90 kcal], チキンコンソメ[43 kcal], および等エネルギーで風味に乏しいコーン・プラセボ, チキン・プラセボ)について行い, 各サンプルの特性を位置づけた。本試験では, 前夜から絶食した11名の女性(22.6±0.3歳)に, スープサンプルを朝食として, 異なる4日間にランダムな順序で負荷した。安堵感スコア, 満腹感スコア, 心拍数, 交感・副交感神経活動(心拍変動解析による), エネルギー消費量(呼気ガス分析による)を, スープ摂取前および摂取1時間後まで経時的に測定した。サンプルへの嗜好スコアは, コーンポタージュ, チキンコンソメの順に高く, 両プラセボで最も低かった。スープ摂取後の安堵感は, コーンポタージュでは他のスープサンプルより有意に高値を示した。安堵感は, 嗜好スコア, 満腹感スコア, 心拍数と正相関し, 副交感神経活動と負の相関を示した。本結果から, コーンポタージュ摂取後の高い安堵感には, スープへの嗜好性, および摂取後の満腹感と心拍数の上昇が関連していることが示唆された。
著者
喜多村 尚 小原 郁夫
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.291-296, 2009-12-10
参考文献数
24
被引用文献数
2

基本4味に対する味覚感度の月経周期における変動については明らかにはなっていない。本研究は, ヒトの月経周期による基本4味 (甘味, 酸味, 苦味, 塩味) に対する味覚感度の変動について検討した。卵胞期と黄体期が明らかである基礎体温パターンを示した11名の健常女子大生を, 被験者とした。味覚感度の測定部位は, 舌の前2/3の茸状乳頭が散在し, 鼓索神経支配を受けている舌の7カ所とした。ついで, 舌の先端部中央における4基本味に対する味覚感度の測定を行った。甘味の味覚感度は, 卵胞期および黄体期が月経期および排卵期より上昇し, 酸味の味覚感度は, 黄体期が排卵期より低下した。しかし, 塩味および苦味の味覚感度は, 月経周期による変動は観察されなかった。これらのことから, 甘味は, 代謝リズムが急激に変わる月経および排卵期に味覚感度が低下するが, 基本4味すべてにおいて卵胞期と黄体期の間で変動がないことが示唆された。
著者
池上 幸江 山田 和彦 池本 真二 倉田 澄子 清水 俊雄 藤澤 由美子 由田 克士 和田 政裕 坂本 元子
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.285-302, 2008-12-10
被引用文献数
3 7

食品成分表示・栄養教育検討委員会ではこれまで栄養成分表示に関する調査を行い,報告書として発表し,また栄養成分表示や健康強調表示に関するシンポジウムなどを開催してきた。前期の委員会では栄養成分表示と健康強調表示に関する意識調査を多様な対象者について行った。今期はこの調査結果を以前の調査と比較しながら,報告書としてまとめることとした。また,今後は新たな調査も加えて,栄養教育の観点から栄養成分表示や健康強調表示のあり方について,一定の見解をまとめた。本調査では,栄養成分表示,健康強調表示については,特定保健用食品や栄養機能食品,「いわゆる健康食品」について,認知,利用,情報源などについて調査した。その結果,<br>(1) 栄養成分表示は広く見られており,健康維持や増進のために利用されている。しかし,現状の表示は分かりにくく,また対象食品が限られていることから,消費者は改善を望んでいる。これらの結果は前回調査と同様であった。<br>(2) 特定保健用食品の認知度はきわめて高く,利用もされていた。とくに若い世代,学生での認知や利用が高いが,高齢者や生活雑誌読者での利用は低かった。他方,関心のある保健の用途は「体に脂肪が付きにくい」や「お腹の調子を整える」,「腸内環境を整える」などであった。しかし,保健の用途の関心と成分の関連には十分な認識がなく,消費者への情報提供が十分ではないと思われた。<br>(3) 栄養機能食品に対する認知や利用は特定保健用食品に比べると低かったが,世代間の傾向は(2)の特定保健用食品と同様であった。<br>(4)「いわゆる健康食品」の利用については特定保健用食品の利用とは異なる傾向を示した。すなわち年齢階層による差異が少なく,高齢者による利用も高く,特定保健用食品とは異なっていた。<br> 「いわゆる健康食品」に関する情報源はテレビや知人・友人からのものが多く,科学的な根拠の入手が困難な状況にあることを反映している。今後「いわゆる健康食品」の有用性や安全性の確保についてどのような制度を作るかが課題と思われる。
著者
河合 美香
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.361-365, 2002-12-10
被引用文献数
1 2

一流競技者は, 科学的なトレーニングに加え, 栄養面 (食事の量・質などの内容や摂取タイミング) にも気を配るようになっている。また, 選手の身体組成, 体力, 疲労からの回復, トレーニングや食事に対する代謝的応答, 食事の摂取パターン, 嗜好などに個人差があり, これらは同一個人であっても日々変化している。2000年シドニーオリンピック女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子選手は, 競技を開始した当初, 栄養に対して興味や関心はなく, 食欲や気分に任せて食事を摂ることの多い選手であった。しかし, マラソンのトレーニングを実施する上で, 食事に対して興味・関心をもつようになり, これに伴って意識が変わってきている。それまで提供される食事を摂っていたのが, 自分自身の体調やトレーニングに合わせて摂る成分を考え, 選択するようになった。また, 同選手の指導者も食事の内容について配慮している。トレーニングの効果を高めるために栄養のサポートをする場合, 選手の様々な環境や段階を熟慮する必要がある。
著者
江崎 治 窄野 昌信 三宅 吉博 井藤 英喜
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.19-52, 2007-02-10
参考文献数
175
被引用文献数
1 1

日本人の飽和脂肪酸の摂取基準策定 (2005年版) に用いた論文をエビデンステーブル (表) として提示し, 策定の基本的な考え方を詳しく述べた。飽和脂肪酸は摂取量が多いと肥満や心筋梗塞が増加し, 少ないと脳出血が増加する至適摂取範囲の狭い脂肪酸である。このため, 飽和脂肪酸の目標量は18歳以上で4.5%エネルギー以上, 7%エネルギー未満に設定された。飽和脂肪酸摂取量が増加すると, 肥満度, 血中LDL-コレステロール値が増加し, 糖尿病, 心筋梗塞罹患が増加する。米国での飽和脂肪酸摂取量を10%エネルギー以下 (National Cholesterol Education Program Step I diet) または7%エネルギー以下 (National Cholesterol Education Program Step II diet) にした多くの介入研究で, LDL-コレステロール値低下, 体重減少が認められている。米国のコホート研究 (観察研究) でも, 飽和脂肪酸摂取量が増加すると, 用量依存性に心筋梗塞や糖尿病罹患の増加が認められている。日本人の飽和脂肪酸摂取量のエネルギー比率の中央値 (50パーセンタイル値) は男性18歳以上で4.9-7.2%エネルギー, 女性18歳以上で5.4-7.9%エネルギーとなり, 平均では約6.3%エネルギーとなる。日本人の現状, あるいは伝統型食生活も考慮に入れて, 心筋梗塞, 肥満, 糖尿病の予防のため, 7%エネルギーが目標量 (上限) に設定された。日本人中年男女を対象にした観察研究では, 飽和脂肪酸の摂取量が少ないと, 血圧, 肥満度, コレステロール値, 喫煙, アルコール摂取量を考慮しても, 脳出血の発症頻度の増加が認められている。ハワイ在住中年男性日系人の観察研究でも, 飽和脂肪酸の摂取量が10g/day未満の人は, 10g/day以上の人に比べ, 約2倍の脳卒中による死亡数の増加を認めている。これらの研究結果から, 18歳以上で, 4.5%エネルギーが下限値に設定された。
著者
山岡 一平
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.83-89, 2011-04-10
参考文献数
24

麻酔薬は体温の恒常性を破綻させ, 体温低下をもたらす。手術時の低体温は種々の合併症とも関連し, 予防策の一環にアミノ酸が混和された輸液製剤が投与される。ラットを用いた本研究では, 麻酔状態でアミノ酸液を持続静脈内投与した場合, 1) 覚醒下に比べて血中インスリン濃度と翻訳開始因子のリン酸化の度合いを著しく上昇させて骨格筋のタンパク質合成を刺激すること, 2) このインスリン高値が骨格筋タンパク質合成, エネルギー消費と腹腔内温度の連関上昇に寄与することを明らかにした。また, アミノ酸投与により筋原線維タンパク質の分解が亢進し, タンパク質代謝回転の向上が体温制御に深く関わることを傍証した。また, 体温保持には分枝鎖アミノ酸群が必要であり, なかでもイソロイシンは血糖調節やエネルギー代謝制御能を有することを示した。これとは別に, 食餌タンパク質が, 深部体温の概日変動の形成に深く関わり, 活動期と非活動期で独自の調節系により緩衝していることを見出した。これらの知見は重要な生命兆候である体温の制御の一端をアミノ酸が負うことを示したものである。
著者
大森 平野 玲子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.3-9, 2007-02-10

動脈硬化を発症および進展させる要因として, 低比重リポタンパク (LDL) が質的変化を受けた酸化LDLの関与が指摘されている。著者らは<i>in vitro</i> においてLDL酸化過程でビタミンCのほか, カテキン類にもビタミンEラジカル再生力が備わっていること, 野菜や豆類における検討から, ポリフェノールは食品のLDL酸化抑制効果と高い関連性をもつことを明らかにした。また, 健常人を対象とした試験から, カカオならびに緑茶は効果的な抗動脈硬化作用食品であることを確認した。次に, 冠動脈造影を施行した症例を対象に, 動脈硬化性疾患の予防に効果的な食品の調査を行った結果, 緑茶の飲用習慣をもつ人はもたない人に比べ, 心筋梗塞の発症頻度が低いことを明らかにし, さらに冠動脈疾患に繋がりやすい遺伝子多型をもつ場合, 緑茶の飲用習慣によって心筋梗塞を予防できる可能性を示した。以上の結果は, 動脈硬化性疾患を予防する上で, 抗酸化物質を有する食品摂取の重要性を示唆するものと考えられる。
著者
永井 成美 菱川 美由紀 三谷 信 中西 類子 脇坂 しおり 山本 百希奈 池田 雅子 小橋 理代 坂根 直樹 森谷 敏夫
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.263-270, 2010-12-10
参考文献数
27
被引用文献数
2 1

本研究の目的は, 若年女性の肌状態に栄養, 生理学的要因が関与するかどうかを検討することである。横断的研究として, 肌状態, 生理学的検査, 2日間の食事調査, 精神状態, ライフスタイルに関するデータを皮膚疾患のない54名 (2022歳) の女子学生より得た。肌状態と生理学的検査項目 (体温, エネルギー消費量, 自律神経活動) は非侵襲的手法により測定した。統計解析の結果, 角層細胞面積とエネルギー代謝, 角層水分量とビタミンA・B<sub>1</sub>摂取量, 交感神経活動指標に関連が認められた。バリア機能の指標である経皮水分蒸散量と炭水化物, ビタミンB<sub>1</sub>, 野菜摂取量にも関連が認められた。また, 肌状態はメンタルな面や自宅での冷暖房使用とも関連していた。以上の結果から, 若年女性の肌状態には栄養的な因子とともに活発な代謝と自律神経活動が関与することが示唆された。
著者
餅 康樹 角田 伸代 柴 祥子 村木 悦子 加園 恵三
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.69-77, 2010-04-10
参考文献数
27
被引用文献数
2

魚油のウェイトリバウンドに及ぼす影響について検討を行った。KK-<I>A<sup>y</sup></I>マウスを用い, 増量期・減量期・リバウンド期を再現した。脂質源として牛脂 (B食) または魚油 (F食) を含有した2種の高脂肪食を作成した。増量期はすべてB食を与え, B食で減量しB食でリバウンドした群をB-B群, 同様にB-F群, F-B群, F-F群およびB食をアドリブにて全期間摂取させた群 (Control群) を設けた。リバウンド後の体重は, B-B, F-B群に比べ, B-F, F-F群でそれぞれ減少した。肝臓重量および肝臓中脂質量は, Control群と比べ, B-B, F-B群では増加したが, B-F, F-F群では減少した。またB-B, F-B群と比べ, B-F, F-F群では肝臓のSREBP-1c, FAS mRNA量が低下し, PPAR-&alpha;, HSL mRNA量およびMTPタンパク質量が増加した。以上より, リバウンド期の魚油摂取は, 体重増加と肝臓への脂肪蓄積を抑制することが示唆された。肝臓での脂肪蓄積抑制の機序として, 肝臓での脂肪酸合成の抑制, 脂肪分解や脂肪酸酸化の亢進および肝臓からのリポタンパク質分泌の正常化が関与すると推察された。
著者
浦部 貴美子 灘本 知憲 古谷 雅代 田中 有花里 安本 教傳
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.23-27, 2003-02-10
被引用文献数
2

野草 (17科42種) を対象として, 悪臭指標物質の一つであるメタンチオール (CH<sub>3</sub>SH) に対する消臭力の有無を検索し, さらにその消臭力の比較検討を行った。野草から得られたメタノール抽出物5mgについて, ヘッドスペースガスクロマトグラフ法によりCH<sub>3</sub>SHに対する消臭率を求めた。その結果, 約1/3の14種の野草に, 銅クロロフィリンナトリウム (SCC) よりも高い消臭力が認められた。特に消臭率100%を示した野草は, オニアザミ, カワラヨモギ, タカサブロウ, ヒメジョン, カキドオシ, オオニシキソウ, キジムシロの7種類であった。これら7種の野草抽出物の中でも, タカサブロウはSCCの24倍, オニアザミ14倍, オオニシキソウ7倍, カワラヨモギが6倍となる高い消臭力であった。これらの野草が消臭性植物であるという報告はこれまでのところ見あたらない。したがって, これらの野草は新しく消臭効果の期待できる素材であることが示唆され, 今後その作用に寄与している成分の同定が必要と考えられる。
著者
脇坂 しおり 小橋 理代 菱川 美由紀 山本 百希奈 池田 雅子 坂根 直樹 松永 哲郎 森谷 敏夫 永井 成美
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.297-304, 2009-12-10
参考文献数
29
被引用文献数
2 4

胃電図は, 腹部に装着した表面電極から経皮的に胃筋電活動を記録する非侵襲的な胃運動評価法である。本研究では, 胃電図を指標として朝食欠食と朝の胃運動の関連を検討するために, 朝食摂取習慣のある女性11名 (21.5&plusmn;0.2歳) に, 1週間の朝食欠食および1週間の再摂食試験を連続して行った。各試験の前後に検査日を設け, 前夜から絶食した被験者の体組成, 空腹感と食欲 (Visual analog scaleによる) を測定し, 午前9時より胃電図と心電図を同時に記録した。得られた胃の電気信号を解析し, 1分間に約3回生じる正常波パワー (Normal power), 正常波パワー含有率 (% Normal power) およびその出現頻度 (Dominant frequency; DF) を定量した。心電図からは心臓自律神経活動を定量した。1週間の朝食欠食は, 有意ではないが% Normal powerとDFを低下させた。DFは欠食後から再摂食後にさらに低下した (<I>p</I>=0.074 <I>versus</I> baseline) 。朝食欠食後の空腹感スコア (<I>r</I>=0.55, <I>p</I>=0.077), 食欲スコア (<I>r</I>=0.60, <I>p</I>=0.051) と % Normal powerの相関には有意傾向が認められた。以上の結果より, 1週間の朝食欠食が習慣的に朝食を摂取している若年女性の胃運動を減弱させる傾向が認められたこと, および, 胃収縮運動の強さが空腹感や食欲の強さと関連している可能性が示唆された。
著者
谷 由美子 水野 さやか 住岡 美由貴 古市 幸生 大島 芳文 伏見 宗士 垣沼 淳司
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.255-263, 2006-10-10
被引用文献数
1

ラットを用いて, コレステロール添加高脂肪食を飼料として与えた対照群, 対照群の飼料の53% (w/w) を納豆の凍結乾燥品で置換して組成を対照群の飼料とそろえた納豆群, およびおのおのにサーファクチン0.3%を添加した飼料を与えたサーファクチン群, サーファクチン・納豆群の3試験群, 計4群について脂質代謝を調べ, サーファクチン含量の高い納豆開発の可能性を検討した。その結果, 1) 血清総コレステロール, 動脈硬化指数, トリグリセリドとも三つの試験群で有意に低下または低下の傾向がみられ, 総コレステロールではサーファクチンと納豆の相乗効果が認められた。2) 肝臓の総脂質はサーファクチン・納豆群で, コンステロールはサーファクチン群とサーファクチン・納豆群で, トリグリセリドはいずれの試験群でも低値を示した。3) 糞中コレステロール排泄率はサーファクチン・納豆群で, 胆汁酸排泄量はすべての試験群で増加し, 肝臓の脂肪酸合成系は納豆群とサーファクチン・納豆群で低下した。以上の結果から, コレステロール添加高脂肪食飼育ラットにおいて, サーファクチンと納豆が, 血清総コレステロール, 肝臓トリグリセリドの低下および糞中コレステロール排泄率の増加に相乗作用を示すことがわかった。
著者
伊藤 智広 伊藤 裕子 樋廻 博重 勝崎 裕隆 今井 邦雄 古市 幸生 小宮 孝志
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.281-287, 2005-10-10
被引用文献数
1 6

これまでに我々は, アズキ熱水抽出物がヒト胃がん細胞にアポトーシス誘導を誘発させることやベンゾピレンにより化学発がんさせたマウスに本抽出物を摂取させることで, がんの増殖を抑制することを報告した。本研究では, さらにこの抽出物を水-メタノール系ODSカラムクロマトグラフィーに供し, その後, アポトーシス誘導物質を分取HPLCにより分離・精製した。アポトーシス誘導物質は質量分析, <sup>1</sup>H-, <sup>13</sup>C-NMRなどから, カテキン-<i>O</i>-7-β-グルコピラノシド (C7G) と同定された。C7Gは培養ヒト胃がんKATO III細胞だけでなく, ヒト白血病細胞HL-60にもアポトーシス誘導を誘発したが, 正常細胞には影響がなかった。このC7GによるDNAの断片化は, <i>N</i>-Acetyl-L-cysteine により抑えられた。以上の結果から, C7Gによるアポトーシス誘導には活性酸素が関与しているのではないかと推測される。
著者
早渕 仁美 久野 真奈見 松永 泰子 吉池 信男
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.189-198, 2007-08-10
被引用文献数
4 5

女子大生とその両親544人分の食事記録に基づき, 2,877日に摂取された42,508品目の料理を用いてデータベースを整備した。まず, 料理名と使用食品重量, あるいは各料理の栄養価を用いて分析を行った。クラスター分析に使用する栄養価と食品群別重量を絞り込み, タンパク質・脂質・炭水化物と野菜・果物・飲用乳重量を変数として用い, 料理を11パターンに分類した。大きく三つの異なるグループ, 「複合的料理群」と「単独料理群」, その他が存在した。「複合的料理群」は, カレーライスのような「複合主食型」 (<i>n</i>=1,364), すき焼きのような「複合主菜型」 (<i>n</i>=448), おでんのような「複合副菜型」 (<i>n</i>=695) の三つに分類された。「単独料理群」は, 炭水化物を平均60.0g含む「主食型」 (<i>n</i>=5,916), タンパク質を平均20.3g含む「主菜型」 (<i>n</i>=1,789), 野菜重量が平均70gの「副菜型」 (<i>n</i>=4,226), 飲用乳重量が平均187gの「牛乳・乳製品型」 (<i>n</i>=1,362), 果物重量が平均100g (<i>n</i>=1,582) と230g (<i>n</i>=343) の「果物型」の六つに分類された。なお, 料理の過半数はこれら九つには分類されず, 弁当や小鉢で供されるような「小主菜型」 (<i>n</i>=5,865) と, 「飲物・小食物型」 (<i>n</i>=18,918) に分類された。これら11の料理型は, 含まれる食品の種類や栄養価の点から, 食事評価や栄養教育上重要な特性をもっていると考える。
著者
西田 浩志 栗山 由加 川上 賀代子 武井 裕輔 千葉 貴裕 増田 秀美 風間 克寿 大塚 彰 佐藤 眞治 小西 徹也
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.169-175, 2011-06-10
被引用文献数
1

芽キャベツとケールの交配から生まれた新しい野菜であるプチヴェールはカルシウムなどをはじめとしたミネラルやビタミン・βカロテンなどの栄養素に富んだ野菜であることから, その機能性に関する研究成果が待たれている。本研究では高脂肪・高ショ糖・高コレステロールの肥満誘導食 (ウエスタン飼料) を与えたマウスに対してプチヴェールがどのような影響を及ぼすかを検討した。通常食群 (CT), 通常食+5%プチヴェール群 (PV), ウエスタン飼料群 (W), ウエスタン飼料+5%プチヴェール群 (WPV) の4群を設定した。ウエスタン飼料給餌による体重および内臓脂肪重量の増加をプチヴェールが抑制した。トリグリセリド (TG) およびコレステロール値を測定したところ, 血中および肝臓ではプチヴェールの明確な作用が確認されなかったものの, 糞中への排泄量をプチヴェールが有意に促進することが分かった。また, ウエスタン飼料による肝臓中の脂肪酸合成酵素 (FAS) の活性上昇をプチヴェールが抑制することも明らかになった。 プチヴェールは脂肪酸代謝や糞中への脂質排泄を制御することでマウスの肥満を抑制することが示唆された。
著者
村木 悦子 松岡 知里 及川 璃奈 佐藤 しのぶ 千葉 大成 角田 伸代 加園 恵三
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.99-106, 2011-04-10
被引用文献数
1

香辛料の一種であるフェヌグリーク (<I>Trigonella foenum-graecum</I> <I>L</I>.) の生活習慣病予防効果を検討した。標準食 (STD) および高脂肪・高ショ糖食 (HFS) の2種類の実験食を作成し, それぞれの実験食にフェヌグリーク添加群を加えて計4群とし, 正常なSD系ラットに摂食させた。HFSではフェヌグリーク添加によって, 体重増加量, エネルギー効率比および精巣周囲白色脂肪組織重量は減少した。また, 肝臓中の総コレステロール量も減少し, 糞中への総胆汁酸排泄量が増加した。しかしながら, 耐糖能に関してはフェヌグリーク添加による大きな影響はみられなかった。以上のことから, フェヌグリークは食餌中脂質の糞中への排泄を促進することによって, 肝臓および白色脂肪組織への脂肪蓄積を抑制し, その結果として体重増加を抑制することが推察された。
著者
山田 典子 吉村 裕之
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.271-278, 2010-12-10
被引用文献数
3 4

最近, 冷え症者と非冷え症者を判別分析により識別する指標を確立した。本研究では, それらの指標で識別した冷え症の女子学生24名を対象に, プラセボ群, ローヤルゼリー(RJ)低用量摂取群(1.4 g/day), RJ高用量摂取群(2.8 g/day)を無作為に8名ずつ割り振り, 二重盲検試験法により2週間摂取してもらった。冷え自覚症状の程度は, 冷え症関連質問紙および温感質問紙で評価した。腋窩温度, 末梢皮膚血流動態, 手指皮膚表面温度, 緩和寒冷ストレス負荷後の皮膚表面温度の経時的変化なども, RJ摂取前および摂取後2週間目に測定した。その結果, 手部・足部・腰部において, RJを摂取後, 温かく感じていることが判明した。また, 高用量のRJ摂取群では, 安静時の手指皮膚表面温度が有意に上昇し, 腋窩温度と皮膚表面温度との差も小さくなった。RJ摂取群は, 緩和寒冷ストレス負荷後の皮膚表面温度を速やかに回復した。
著者
中谷 延二
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.389-395, 2003-12-10
被引用文献数
2 12

香辛料の機能成分のなかで抗酸化性, 抗菌性に着目して活性成分を探索した。抗酸化性に関しては香草系香辛料のシソ科のローズマリー, セージからきわめて抗酸化性の高いアビエタン型フェノール系ジテルペノイドを単離, 構造解析した。同科のオレガノ, マジョラム, キク科のヨモギ類から極性の高い水溶性抗酸化ポリフェノールを見いだした。香辛系香辛料のショウガからジンゲロール型およびジアリールヘプタノイド型の30種の新規化合物を含む50種の抗酸化成分を得た。ウコンには各種クルクミノイドが見いだされた。トウガラシ, コショウからはフェノール系アミド化合物を単離し, オールスパイスからはフェニルプロパノイド配糖体やタンニンを, ナンヨウザンショウからは一連のカルバゾール類を見いだした。抗菌性については非揮発成分に着目し, ハイゴショウ, パプアメース, ナツメグなどから多種類の化合物を得た。抗酸化物質は生体内酸化ストレスよって発症するがん, 動脈硬化などの生活習慣病の予防に役立つことが期待される。
著者
野口 茜 森山 明穂 峰尾 茂 藤澤 洋子 杉山 まりか 坂口 英
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.27-33, 2011-02-10
被引用文献数
2

近年, 肥満予防に対するポリフェノールの有用性がよく論じられている。ボイセンベリーにはアントシアニンやエラグ酸などのポリフェノールが多く含まれているが, 抗肥満作用に関する報告はない。そこで, 5%ボイセンベリー果汁 (BJ) を添加した普通食並びに高脂肪食をWistar系雄性ラット (6週齢) に12週間摂取させ, BJが肥満を予防する作用をもつか試験した。その結果, BJ添加は, 体重増加量, 体脂肪蓄積, 肝臓脂質中の中性脂肪量および総コレステロール量を, 有意に低下させた。また, 各飼料摂取後の血漿中中性脂肪濃度を測定した結果, BJ添加が食後3時間での血漿中中性脂肪濃度上昇を, 有意に抑制した。以上の結果から, ボイセンベリー果汁の摂取は, 高脂肪食摂取による肥満を予防する可能性が示唆され, さらにはメタボリックシンドロームの改善にも有用であると考えられた。
著者
野口 茜 森山 明穂 峰尾 茂 藤澤 洋子 杉山 まりか 坂口 英
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.27-33, 2011-02-10
参考文献数
39
被引用文献数
2

近年, 肥満予防に対するポリフェノールの有用性がよく論じられている。ボイセンベリーにはアントシアニンやエラグ酸などのポリフェノールが多く含まれているが, 抗肥満作用に関する報告はない。そこで, 5%ボイセンベリー果汁 (BJ) を添加した普通食並びに高脂肪食をWistar系雄性ラット (6週齢) に12週間摂取させ, BJが肥満を予防する作用をもつか試験した。その結果, BJ添加は, 体重増加量, 体脂肪蓄積, 肝臓脂質中の中性脂肪量および総コレステロール量を, 有意に低下させた。また, 各飼料摂取後の血漿中中性脂肪濃度を測定した結果, BJ添加が食後3時間での血漿中中性脂肪濃度上昇を, 有意に抑制した。以上の結果から, ボイセンベリー果汁の摂取は, 高脂肪食摂取による肥満を予防する可能性が示唆され, さらにはメタボリックシンドロームの改善にも有用であると考えられた。